笑う岩偶 (わらうがんぐう)
岩偶…?
おそらく土偶が土から作られているのに対して、岩偶は岩を削って作られたということなのだと推察する。
笑う岩偶。
会える場所、伊勢堂岱縄文館。
笑っている。
めちゃめちゃ笑っている。
満面の笑み。
初めてこんなに笑っている土偶に出逢った気がする。
そういえば笑顔の土偶ってあまり思い浮かばない。
そもそもほとんどの土偶にはあまり明確な表情を見いだせない。
なんとなく怒っているように見えるものもあれば、どことなく物憂げだったり、そこはかとなくぽかんとしていたり。
見る角度や照明によっても表情が変わる土偶が多い。
しかし、この岩偶は確かに笑っている。
ふと、縄文時代も笑顔は喜びや楽しみの表情だったのかなと考える。
赤ちゃんも楽しいと笑ったりすることから鑑みるに、笑顔はおそらく生得的な表情のひとつであると思う。
しかし、赤ちゃんの頃のような笑顔になれる大人はあまり多くない。
笑顔が歪んでいく。
不思議なことだ。
歪んだ笑顔は笑顔と呼べるのか?
笑顔とは一体何なのか。
それは自然か、不自然か。
笑う岩偶を見ながら考える笑顔の意味。
土偶とは、それを見ていろんなことを考える教材的存在だったのかもしれない。